青松さんの『4』、装丁も内容もすごくかっこよくて、読むときに自然と息をひそめてしまう歌集だった。
1冊通して読んでいるときもすごくいいんだけど、普段の生活のなかで歌集の中の1首が頭にあらわれて、結晶みたくカチッとはまる瞬間がたびたびある。
何回も読み返していてそのたびにうれしくなってしまう。
ところで、歌集を読んで歌や本の雰囲気にできるだけ浸っていたい…忘れたくない…と思うときとか、短歌を作るときにこの雰囲気に近いものがほしいな…と思うときとかに、モード?チャンネル?を合わせるためによくやっているのが、その歌や歌集にふさわしいペンで1首を書き写すということだ。
ふさわしいペンを選ぶのはけっこう至難の技で、手帳に何度も試し書きをしては「このペンだと強すぎるな…」「色味が合ってないな…」というオーディションをやっている。
(そのためわたしのペンケースにはありえないくらいすてきな色のペンがたくさん入っていて、正式な書類を書くのには一切役に立たない。)
さて、このたび青松輝『4』に最適なペンが、厳正なる審査(審査員・紺野藍1名)の結果、以下のように決定したのでそれを発表したい。
そのペンとは…
パイロット ジュースアップ04 メタリックカラー/メタリックブルー・シルバー(各220円)
です!おめでとうございます。
公式からのコメントによると、こちらのジュースアップは、
新感覚の濃くやわらかな書き味が生み出すワンランクアップのカラフル激細ゲルインキボールペン。
(出典:パイロット公式ページジュース アップ | 製品情報 | PILOT)
だそうで、書きごこちはなんかキモいくらいすごい安定感があって良い。
ただ、今回『4』にふさわしいとの判断になった最大のポイントはインクの色だ。
これはメタリックカラーと銘打っているとおり、とても綺麗に、そして複雑に(これが重要)光る。
外からの光をうけて、インクの中のいろんな色が混ざり合って反射して、インクそのものが光りだす。
手帳に書いては光にかざし、うっとりしてしまう。
『4』を最初に読んだときにいちばん思ったのは、光だ、でも自然光じゃなくて、都会の、多くの色が混ざって、白くなって、それが強い光だ、ということだった。
このペンが持つ何色!とひとことで言えないような光り方(写真じゃ伝わらないかもしれないけれど)は、まさにぴったりだ。
歌によってシルバーのほうがしっくりくるものもあれば、メタリックブルー(というかこの装丁だったらこの色は外せないな、とも思う)がよい歌もある。
愛のWAVE 光のFAKE どうしよう、とりあえず、生きていてもらってもいいですか?
人間は死ぬということが共通理解としてあって、だから許すことも諦めることもできるんだろう。もしわたしが不死だったら、きみはわたしを好きだっただろうか、みたいなことを最近はよく考える。
夜の白い光は密度が高く、ぼんやりと街全体を照らして、綺麗だって思ったのはぜんぶ本当のこと、だと思う。